これからフリーランスになる人にとって、

フリーランスはどんな人種なのか?どんな人がいるのか? 

なかなかわかりにくいですよね。

というわけで今回は旅するフリーランスカメラマンの廣田賢司さんにインタビューを敢行。

長年の悩みだったあがり症の克服、消えゆく東京の街並みを残したいとカメラを手に取ったこと、全国どこでも50円出張撮影サービス・・・ フリーランスカメラマンとして働くまでの道のりと、この先の展望をありのままに話していただきました。

フリーランスカメラマン 廣田賢司
2016年からフリーランスのカメラマンとして活動。撮影対象は、風景、プロフィール写真、結婚式の写真など多岐に渡るが、「旅」「純喫茶」「昭和レトロ」「地域」「暮らし」「アウトドア」が特に好き。なお現在は車中泊をして暮らしているとのこと。
Twitter:piroken1980 ブログ:hirokenji.com

カメラをはじめたきっかけは「消えていく東京の街並みを残したい」

二本松二本松

今日はよろしくおねがいします。

廣田さん廣田さん

よろしく!普段こういうの(取材)あまりないから緊張するね…

ーーブログやInstagramでも素敵な写真を沢山アップしていますが、フォトグラファーとして具体的にどんな仕事をされているんですか?

プロフィール写真、家族写真、取材・イベント撮影、結婚式の撮影など、幅広いです。実際に去年した仕事だと、3ヶ月クリームソーダを撮影し続ける仕事もありました。

ーークリームソーダの仕事?

あれはとても楽しい仕事でしたね。3月~5月の3ヶ月間、車で日本中を回って純喫茶とクリームソーダを撮影する仕事でした。全87日間で千葉から九州、沖縄、九州から北海道まで。総走行距離7,300キロにも及ぶ旅でした。※札幌から鹿児島まで車で2,300キロくらいです

もともと昭和レトロが好きだったんですが、純喫茶を巡ることでより好きになりましたね。取材したお店がこの3ヶ月の旅の途中で閉店してしまうことがあったのですが「もうあのお店を見ることはできない」と思うとあの空間を切り取って残しているこの仕事に尊さを感じました。

廣田さんが撮影協力したクリームソーダの本

 

ーーかなり面白そうな仕事をされてますね。写真のお仕事はずっとやってるんですか?

廣田:いや、フォトグラファーとして仕事をはじめたのは実は2016年でつい最近なんですよ。ただ、カメラ自体は10年以上前から趣味で触っていました。

まだ会社員をしている時に生まれ育った東京の街並みが変わっていくのを見て、「思い出がどんどん消えていく」「小さいころに走り回った裏路地が、あの街並みが、高層マンションとビルばっかりになっていく」と思ったんですよね。

当時「会社員がつまらないなぁ」と思っていたこともあって、東京の思い出の景色を写真に残しておきたい、と思ったのがカメラを始めたきっかけでした。

自分が下町生まれということもあって、下町の写真を中心に撮っていましたね。築地とか、大島、墨田区京島とか…。

例えばスカイツリーが出来上がっていく姿もよく撮っていました。建設前、建設中の写真は出来上がってしまった今はもう撮ることができないんですよね。そういう写真はその時にしか取れない。だから数年後に見ると非常に感慨深いんです。写真は時が経てば経つほど素晴らしい、と思いますね。

二度と見ることが出来ない建設途中のスカイツリー

人生に影を落とした「あがり症」

ーーカメラマンになる前の会社員時代、あがり症で苦しんだという記事を読みました。その時のお話も聞いて良いですか?

はい、もともと僕はあがり症で、遡ると高校時代の本読みがきっかけでしたね。国語の授業で先生に指されて読み始めたんですが、急に声が震えだしてしまって。「あれ、おかしいな?」と思ったんですがどんどん震えてしまって。クラスメイトも「泣いてるのか?」と振り返って、それでまた緊張が膨れ上がって…という体験をしました。

その後は、「また指名されたら嫌だなぁ」という思いを持ちつつも、だましだましなんとかやっていました。ごまかしながらも学校を卒業し、何度か転職をして入社したIT系の会社で、会議やプレゼンをする機会も増えたことがきっかけで、また、あがり症はやってきました。

「会議で人前に立つことがあるかもしれない」

と思うだけで緊張して憂鬱になり、お腹が痛くなっていました。緊張を誤魔化す為にお酒を飲んで朝礼に出たこともありましたね笑

ーー相当嫌だったんですね笑 お酒を飲んだらうまくいきましたか?

お酒を飲んでもぼーっとするだけであまり効果はありませんでしたね笑

はじめは「人前で話すこと」が嫌だったのですが、だんだんと人と話すこと自体が嫌になり、

「働くのがしんどい…」

「会社やめよう…」

と思っていました。しかし、会社をやめる前に紹介された「話し方教室」や「スピーチ教室」が転機になったんですよね。

若き日を思い出す廣田さん

 

二本松二本松

話し方教室…怪しさ全開ですね。

廣田さん廣田さん

僕も最初そう思ったよ笑

話し方教室には3~4年通って、次第に人と会話することに恐怖はなくなってきました。その後通ったスピーチ教室では、模擬で結婚スピーチや選挙運動をするのですが、その経験を積んでいったおかげで人前で話す抵抗が少しずつなくなってきました。

その頃、会社の朝礼で1分間スピーチというものをやっていました。当番制なので当然自分もスピーチをするのですが、やっぱり緊張して、足もガタガタ震えていたのを覚えています。スピーチ教室で意識していた「大きい声を出す」ことだけを考えて話をしたら、緊張に支配されず最後まで話終えることができました。

スピーチから席に戻り隣の席の人に「あれは良いスピーチだったねぇ」と言われた瞬間にやりきった感情と、霧が晴れていく感覚がありました。今思うとその時に長年かけられていた「あがり症」という呪いから解放された気がします。

今までの人生で「あがり症」というものからずっと目を背け続けていたせいで、自分の背後にモンスターがつきまとってきている感覚だったんですね。それから解放されて、「こんな新しい世界があるんだ」と感じますね。

若き日の廣田さん

そして世界一周へ  – カメラが旅に連れてってくれた –

ーーなかなか壮絶なお話ですね。そのあと、世界に旅に出たと聞いたのですが、どういう経緯だったんですか?

あがり症を克服したことで、怖いものなしになってたんですよね笑

人とのコミュニケーションが怖くなくなったので、色々なコミュニティに顔を出していました。そこで「カップルでカフェを立ち上げる人」や「世界一周に出る女性」と出会って、自分も何かできるのでは?と思ったのがきっかけでした。

また、「明日死ぬかもよ?」という本を読んだことがきっかけで、明日死んでも後悔のない人生を送りたいと思ったら、いてもたってもいられなくなり会社をやめて生命保険も解約したんですよね。

それで、ハマっていた写真をもっと撮りたいと思って世界一周に旅たったんです。なので、きっかけは本や友人だったんですが、最終的にカメラが僕を旅に連れてってくれましたね

カメラに連れてかれて砂漠まで来た廣田さん@ナミブ砂漠

 

二本松二本松

32歳で会社をやめて、生命保険を解約して旅に出るって、なかなか狂ってますよね…笑

廣田さん廣田さん

明日死ぬかもしれないからね笑 年齢は関係ないよ。

 

海外経験もほぼなしだったので、非常に刺激的な旅でした。結局2年間ちょっとで31ヶ国ほど旅をしました。旅についてはブログでたくさん記事を書いているので、ぜひ読んでください。

 

ですが2年もすれば飽きてくるんですよね。もうどうしようもないほどに。

それにだんだんお金もなくなって来て、気づいたんですよ。

あれ?これ意外と死なねえわ。

って。

人は意外と死なないから生きていかないといけない。生きていくにはお金が必要だから、帰国直前はとにかく「お金がなくなること」「稼がないといけない」というプレッシャーがきつかったです。

廣田さん廣田さん

人は意外と死なない。だから稼がないといけない。

二本松二本松

・・・まあそうですよね。

 

発信が転機となりフォトグラファーの仕事がはじまる

ーーこの頃はまだカメラの仕事をしていないかと思うのですが、どういう経緯で始めたんですか?

旅から帰国してしばらくした時に、友人が「結婚式の写真の撮影をしてくれないか」と僕に連絡してくれたんですね。それが僕のカメラマン、フォトグラファーとしての初めての仕事依頼でした。

当時からFacebookやブログに写真をアップしていたので、その写真を見て依頼してくれたようです。

廣田さんが撮影した結婚式の写真

ーーなるほど、発信が仕事に繋がったんですね。初の仕事で緊張や不安はありませんでしたか?

そうですね、やったことなかったので依頼された時は不安でした。なので自信を付けるために場数を踏もうと思ったんですよね。

場数を踏むために当時SNSで「1日50円で〇〇」が話題だったのを見て、「50円出張撮影サービス」を始めてみることにしました。(※現在は終了しています)

交通費+50円で日本中どこでも写真を撮りに行きました。約5ヶ月で70件ほどの依頼をいただき、かなり場数を踏ませてもらいました。完全に習うより慣れろでしたね。

そこからは紹介やブログ経由などで仕事依頼がどんどん入るようになりました。なので「カメラマンとして仕事をしようと努力した!」というよりも、気づいたらその仕事をしていた感じです。

 

二本松二本松

好きなことを発信していたら仕事になった、ということですね。素晴らしい。

廣田さん廣田さん

50円やめたら仕事激減して焦ったけどね笑

交互浴のような人生を送りたい

ーー今後については、どんな活動をしていきたいと思ってますか?

う〜ん、色々なことがしたいですね。同じことがずっとできないんですよ。旅もカメラも楽しいけどずっと同じことはできなくて、そんなに一つだけにコミットするわけではない。旅もカメラも、自分を楽しませるツールの一つにすぎないんです。

変化に柔軟でいたい。同じリズムでいると飽きてしまうので、日常・日常・非日常というテンポでいきていきたい。交互浴のような人生を過ごしたいですね。

交互浴とは

熱いお湯と冷たい水により交互に体に温冷刺激を与えると末梢血管が開き、筋肉痛を引き起こす疲労物質の乳酸などが体外に排泄されやすくなるので、疲労予防や疲労回復効果がある、とのことです。

温泉ソムリエが教える幸せになる入浴法!

廣田さんは温泉、サウナが趣味だそうです

 

ーーなるほど…!過去の廣田さんと同じように、あがり症やコンプレックスで悩んでいる人に伝えたいことはありますか?

あがり症だった時めちゃくちゃ辛かったですし、「死にたい」って思っていました。でも10年くらい経って、今は笑って話せるし、辛いんだけど、数年後には「あ〜そんなこともあった」と思えたりする。そういうことの方が豊かな人生を作ってくれる。

その最中はそんなこと考えられないと思うけど、ちょっと楽しむくらいの気楽な気持ちでいてほしいなと思います。

今はお金がないけど、お金がない状態も別にダメじゃなくて、味わっている。苦味も含めて人生なので、楽しんでいきていこう。

 

二本松二本松

最後にありがたいお言葉、ありがとうございました。

廣田さん廣田さん

これは必ず使ってね。

 

編集後記

インタビューを終えて、廣田さんはとにかく「自分に素直」という印象を受けました。自然体でストレスがなく、どこか飄々とした雰囲気はそんな素直さから来るものでしょう。

10年来の悩みだったあがり症を克服し、新たな人生がはじまった廣田さん。この話は現在コンプレックスで悩んでいる人にとって大きな光になるのではないでしょうか。

フリーランスを目指して自分を律し努力することも大事だが、時には廣田さんのように自分の心に耳を傾け、自分に素直になる時間も大切だと身にしみるインタビューでした。

 

廣田さんのお仕事募集ページ

書籍・イベント・取材の撮影以外にも、フリーランスのプロフィール写真の撮影も行なっています。詳しくはヒロタケンジのお仕事募集ページをご参照ください。

廣田さん撮影の書籍『クリームソーダ純喫茶巡り』
廣田さんが撮影したクリームソーダの本はこちら