近年、ふるさと納税が話題になっています。
どんどん利用者が増えている一方で、なんとなく申請方法がわからず、まだ一歩踏み出せていない人も多いのではないでしょうか。
「今年こそふるさと納税を利用してみたい」
「ふるさと納税をどうやって申告したらいいかわからない」
「年末調整で申告できるのかな?」
と思っている人向けに、ふるさと納税の申告方法を紹介します。
ふるさと納税の控除申請方法は、「確定申告」と「ワンストップ特例制度」の2通りだけで、年末調整のみではお得になりません。
ちゃんと理解すれば、そんなに難しい仕組みでもないので、この機に理解してしまいましょう。
ふるさと納税は年末調整だけでは控除は受けられない
結論から言うと、年末調整だけではふるさと納税のメリットを受けられません。
一応補足として年末調整の説明をしておきます。
年末調整(ねんまつちょうせい)とは、サラリーマンや公務員などの給与所得者に対して事業所等が支払った1年間(1月〜12月)の給料・賞与や賃金及び源泉徴収した所得税等について、原則として12月の最終支払日に再計算し所得税の過不足を精算する制度である(所得税法第190条〜193条)
(引用:Wikipedia)
簡単に言うと年末調整とは、会社が会社員に対して行う所得税の再計算・再配分のことです。
会社員は給料を受け取る際に、所得税の概算として源泉徴収が引かれた分の金額を受け取ります。
ですが、この源泉徴収はあくまで目安金額であり、最終的な所得税の金額は個々人により異なりますし、当然概算で出している源泉徴収とも差が生じます。
12月にその差額分を計算して、所得税が不足している人からは再徴収して、取りすぎている人には返金します。
なお、確定申告と年末調整の違いですが、行うことは実質同じですが、企業が行うか個人で行うかの違いです。
年末調整は会社が全従業員分の所得税の調整をしますが、確定申告は個人が所得税額の再計算を行い、税務署へ行き自分で申告して税金を納める必要があります。
この年末調整の際にまとめてふるさと納税の控除申請をできないか、と考える人もいますが、できません。
ふるさと納税で税金の控除を受けるためには、「確定申告」か「ワンストップ特例制度」のどちらかしかありません。
ふるさと納税の控除を受けるための2つの方法
ふるさと納税の控除を受けるためには、
- 確定申告
- ワンストップ特例制度
のどちらかで申告する必要があります。
人によってどちらを利用することになるのか変わってくるので、自分の立場で考えて見てみてください。
確定申告の必要がある人
こんな人が確定申告でふるさと納税の申請が必要です
- もともと確定申告が必要な人(個人事業主など)
- ふるさと納税で6自治体以上に寄付した人
確定申告でふるさと納税の税金控除を受ける流れは以下です。
- 寄付したい自治体にふるさと納税を行う
- その際に必ず「受領書」を受け取って保管しておく
- 翌年の3/15までに税務署で確定申告の手続きをする
- 確定申告の際に必ず全てのふるさと納税の「受領書」を添付して提出
- 確定申告の1~2ヶ月後に所得税の控除分が還元される
- ふるさと納税を行なった翌年度の6月から住民税が控除として減額される
このように確定申告が必要な人は少し複雑な手順を踏まなくてはなりません。
また注意点としては、税金の控除が所得税の控除と住民税の還元という2つの形で行われます。
それぞれタイミングと控除の方法が異なるので、あとで「足りない!」と慌てないためにも、理解しておいてください。
ワンストップ特例制度が使える人
ワンストップ特例制度が利用できるのはこんな人です。
- もともと確定申告の不要な給与所得者
- 1年でのふるさと納税での寄付先が5自治体以下
一般的にサラリーマンはこちらに当てはまるでしょう。
ワンストップ特例制度は面倒なふるさと納税の申請手続きを減らして、簡単に住民税・所得税の控除を受けられるようにした仕組みです。
手続きがシンプルで簡単になるので、確定申告が不要な人はぜひ利用しましょう。
ワンストップ特例制度で税金控除を受ける流れは以下。
- 寄付したい自治体にふるさと納税を行う
- ふるさと納税を行う際に毎回「ふるさと納税ワンストップ特例の申請書」を提出
- 所得税の還元は行われない
- ふるさと納税を行なった全額分が翌年の住民税の控除される
注意点としては、ワンストップ特例の申請は必ず毎回行なってください。申請を忘れると、確定申告が必要になっていしまいます。
ワンストップ特例制度を利用した場合では、寄付全額分が住民税の還元として行われます。
なお、「確定申告」「ワンストップ特例制度」のどちらでも、控除額が変わることはないので安心して利用してください。
医療費控除も年末調整できないため、確定申告が必要
医療費控除とふるさと納税との併用は可能です。
一般的に、1年間で支払った医療費が10万円を超えると控除を受けられます。最大で200万円の控除になるので、必ず利用したいところでしょう。
ですが、ここで注意したいのが、医療費控除は確定申告が必要です。
つまり医療費控除とふるさと納税の税金控除を併用する場合は、ワンストップ特例制度は利用できず、自分で確定申告をする必要があります。
「自分はサラリーマンだからワンストップ特例制度で簡単」と思わずに、医療費控除を利用していたら、確定申告をするタイミングでふるさと納税の申請をしましょう。
それぞれの金額は、医療費控除を計算してから、ふるさと納税の寄附金控除額を計算する順番になります。
関連記事:ふるさと納税と医療費控除は併用可能!ワンストップ特例制度は併用できない
ふるさと納税は年末調整だけでは控除が受けられないため注意が必要
税金の控除ができるふるさと納税ですが、会社が行う年末調整だけでは控除を受けられません。
人によってふるさと納税を利用する方法は異なります。
会社員など確定申告が不要な人であれば「ワンストップ特例制度」、フリーランスなど元々確定申告が必要な人であれば「確定申告の際に申請」するようにしましょう。
また、医療費控除を受ける人や、1年以内に6自治体以上に寄付を行なって人は、会社員であっても確定申告が必要になるので注意してください。
一度理解してしまえば、ふるさと納税は意外と簡単で、お得だらけの制度です。
年末調整だけでは控除の申請はできませんが、ワンストップ特例制度や確定申告をする手間を考えても十分お得なので、まだ利用し始めていないなら、今から準備してみてくださいね。