一般企業の会社員であればほぼ問題なくマンションやアパートの賃貸契約を結ぶことができますが、フリーランスは収入が不安定という理由で契約が難しいことが多々あります。

「会社員時代よりも年収は上がっているのに・・・」と複雑な思いをすることもあるでしょう。

しかしフリーランスでも賃貸マンション、アパートを借りることはできます。

本ページではフリーランサー向けにどうすれば賃貸契約ができるか、入居審査について解説します。

入居審査の基準とは

まずは入居審査の基本から説明しましょう。

入居審査は決裁者がOKといえば通ります。決裁者とは「この人に貸してもいいよ」と承認する者のことで、大家・管理会社・保証会社のどれかです。

決裁者は入居希望者がしっかり家賃を払うことができると認めた場合に、OKを出します。

賃貸契約で関わる人・会社

入居審査では多くの場合、以下の会社がそれぞれ関わってきます。

会社説明主な会社
大家物件所有者。主に建築会社や個人。
管理会社物件を管理している会社。個人の大家が一任して任せていることが多い。大京アステージ、日本ハウズイング、大東建託等
保証会社家賃未払い等借主とトラブルがあった時に大家(または管理会社)を保証する会社。日本セーフティ、東急コミュニテイ、リクルートフォレントインシュア等
不動産会社賃貸物件の仲介を行う会社。正式には宅地建物取引業と言う。アパマンショップ、mini mini、ピタットハウス、ハウスコム等

基本的に借りる側の私たちが直接関わるのは、一番下の不動産会社のみです。しかし実際にその物件を借りられるかどうかは、多くの場合それ以外の三者(決裁者)によって決まります。

この四者がすべて分かれている場合もあれば、不動産会社が管理会社としてすべての管理を担っている物件もあります(インターネット上で有名な不動産検索サイト「ホームズ」や「スーモ」などは、これらと違って契約には関わってきません)。

決裁者がOKといえば借りられる

上記三者のうち、入居の許可を出す決裁者の了承を得ることができれば物件を借りることができます。

多くのケースで決裁者は物件を所有する大家ではなく、大家に業務委託されている管理会社です。入居希望者に物件を貸すかどうかは管理会社が決めます。

管理会社(または大家)の扱う物件の中には、保証会社の審査が通ればOKというものもあります。その場合は保証会社次第で入居できるかどうかが決まります。

いずれの場合も決裁者がOKを出せば審査に通り、ダメだと言われたら借りることができません。その審査の決め手となるのがやはり収入で、収入を証明する書類が必要になってきます。

収入の証明に必要な書類

先述した通り、物件を借りる際は不動産会社や管理会社に対して「これだけの収入がある」ということを、必要書類を通じて明らかにしなくてはなりません。

逆に収入があることを証明できれば大抵は賃貸物件を借りることができます。

フリーランス、自営業が賃貸物件の審査に通りにくいと言われるのは、この収入を証明できない場合のみの話です。フリーランス、自営業者の場合は主に以下の書類で収入の証明をすることができます。

住民課税証明書

フリーランサーが収入を証明するために一般的に用いられる書類は住民課税証明書です。

その理由は前年の確定申告の所得を元に計算された「住民税の課税額」が記載されているため、フリーランスの人でも前年の所得を示すことができるからです。別名、所得証明書や収入証明書とも呼ばれます。居住している市区町村役場の窓口で発行してもらえます。

納税証明書(所得税)

所得税の納税証明書は、納税額・所得金額、および未納の税額がないこと証明する書類です。所得税・法人税・消費税の納税額が記載されています。

同じ納税証明書という名称でも、市町村役場が発行する地方税の納税証明書とは種類が異なります。

所得税の納税証明書は市区町村役場ではなく、税務署で発行してもらえます。時期によってはかなり窓口が混雑し、納税証明書1枚をもらうのに一苦労することもあります。

そこでe-TAXのHPより交付請求をあらかじめ手続きしておくと、かなりスムーズに受け取ることができるのでおすすめです(郵送でも受け取る方法もあります)。

国税電子申告・納税システム(e-Tax)で確定申告している方は、電子納税証明書の交付請求ができます(所得税の確定申告をしていることが前提です)。

参照:[手続名]納税証明書の交付請求手続

納税証明書(地方税)

地方税の納税証明書は、地方税(住民税・国民保険税・固定資産税・自動車税など)の納税を証明する書類です。この発行窓口は市町村役場です。

確定申告書

確定申告書で収入を証明することもできます。ただし正式に提出したものであることを証明するために税務署の判子(電子申告の場合は申告番号の記載)が必要です。

住民課税証明書(所得証明書)は5月頃に届くので、収入の証明に使いたくても5月まで待たなければいけません。

確定申告の場合2月15日から申告できるので、それ以降であれば前年の収入が証明できるのです。

審査を通過できない理由

先述した通り、収入を公的な書類で証明することができれば賃貸物件はほぼ借りられます。が、審査に中々通らないという場合は以下のケースが考えられます。

収入に対して家賃が高すぎる

審査の基準となる金額は、年収の約1/3、手取り月収の30%以内が適切です。これより家賃が高いと審査をパスすることが厳しくなります。

手取りの30%以内だと、月収30万なら家賃は9万円以内です。フリーランスが物件を借りるのが難しいと言われる一因はここにあります。

多くのフリーランサー、自営業者は交通費や交際費を経費にできるので、税金対策のために額面上の収入を減らしています。実際の収入は月30万円以上でも、額面の収入は20万くらいしかないというケースが多いのです。

20万円の30%は6万円なので、それを超える賃貸物件を借りることはできません。都内では6万円以下で借りられる物件は限られてきます。

もちろんすべての物件が30%以内でないと借りられない、というわけではなくあくまで一つの目安です。自分がどれくらいの家賃の物件なら借りられるのかを計算しておきましょう。

借主、オーナーの意向と合っているか

物件によっては大家や管理会社が「フリーランス、自営業者はNG」としていることもよくあります。その場合、収入以前の問題で借りることができません。

また、子ども不可、ルームシェア不可、ペット不可、法人契約の希望などもあるので事前に調べておくか、不動産で相談しておく必要があります。

不動産会社への相談

賃貸アパートの審査基準は管理会社や保証会社によって大きく異なります。

収入さえ満たしていれば簡単に審査に通ることもありますが、先述した通りフリーランスや個人事業主には厳しい管理会社もあります。どこの管理会社、保証会社が審査が通りやすいか事前にわかればいいのですが、そうもいきません。

そんなときは不動産会社に相談してみるという手もあります。大手の不動産会社は、自社管理物件もたくさん保有しており大手の管理会社が管理する物件を複数紹介しています。

フリーランスの場合、事前に「審査に不安がある」ということを不動産会社に伝えましょう。そこから比較的審査に通りやすい物件を紹介してくれます。

オラオラ営業系がおすすめの場合も

自分のペースで攻めてくる強気の営業マンは基本的にはうっとうしいだけですが、審査に不安があるフリーターや自営業者の賃貸物件探しにはこういうタイプの方が逆に助かることもあります。

「顧客を逃したくない」と思っている営業マンであれば、一生懸命物件を探してくれますし交渉もしてくれます。

逆に淡白な営業スタイルの不動産会社は、審査に通らなかったら「とても残念です」の一言で終わりです。これは私も何度も経験しています。

周りの評判やインターネットのレビューなどを調べて、その不動産会社の営業の様子や雰囲気をチェックしましょう。

契約の連帯保証人と保証会社について

賃貸物件を借りる際、連帯保証人が必要となる場合が多いです。

保証人は、借り主が家賃滞納をした場合など借り主のかわりに未納家賃を支払う責任が生じます。

実は保証人をしっかり立てることができれば借主に多少不安があっても入居審査をパスできることが多いです。連帯保証人は法的に保証義務が生じるので貸主も安心できます。

お願いできる連帯保証人がいない場合、保証人不要の賃貸物件を利用するという選択肢もあります。しかしこの場合はやはり審査が厳しく、フリーランスではかなり難しくなるでしょう。

保証会社の審査が通ればだいたい入居できる

保証会社とは保証料を支払うことで借主の保証人代わりになってくれる会社です。フリーランスの場合、連帯保証人がいても十分な収入がないと、家賃保証会社の利用を求められるケースもあります。

また、最近はそれ以前に保証会社加入必須の物件も多いです。いずれの場合でも保証会社は保証する義務があるわけですから、保証会社が了承すれば管理会社の審査をパスすることができます。

しかし保証会社はお金を出せば借主の保証してくれるわけではなく、ここでも審査があるので、いずれにしても収入の証明が必要になります。

まとめ

ここまでフリーランスが賃貸物件を借りる際の解説をしてきました。

まずフリーランスが物件の賃貸契約を結ぶためには、支払い能力があることを一番に証明するのが重要です。

万が一、入居審査に通らなかったときは、収入が安定していることをきちんと証明できているか、いま現在の収入に対して高すぎる家賃の物件を選んでいないか、フリーランスに理解がある貸主かどうかなどを確認してみるといいでしょう。

もし、開業したばかりで入居審査に不安があるときは不動産会社に相談しましょう。自社管理物件なら預貯金や人柄を見て貸してくれることも多いです。

フリーランスとして賃貸物件を借りようと思っている人は、上記のことを念頭に置いて物件を選びましょう。